旧約聖書における自然災害
RCC「自然の問題と聖典」プロジェクト第1回研究会
2011.5.31
キリスト教と文化研究センター 樋口 進
序、地球は、昔から大きな自然災害に見舞われてきた。
世界の主な自然災害の状況(20世紀以降)→資料1
日本の自然災害→資料2
地震、津波、ハリケーン、台風、サイクロン(→アジアに多い)
人間は、この自然災害には、無力であり、なすすべがない。
1995年の阪神・淡路大震災、今回の東日本大震災においても、多くの人がそのよう
な印象を持った。
古代社会においてはなおさらであり、旧約聖書の世界においても同じである。
1、旧約聖書における自然災害の記述
1.1、地震
パレスチナは、アルプス、コーカサス、ヒマラヤによって囲まれた活動的地震帯の中
にある。ヨルダン地溝、東地中海に断層が走っている。そこで、これまでに地殻変動
によって100年に1,2回の大地震が起こっており、毎年2〜6回の小さな地震が起
こっている。→資料3,4
考古学者→BCE1365年頃、大地震の証拠
サム上14:15「地は揺れ動き、恐怖はその極に達した」→王国初期の大地震
アモス書1:1「あの地震の2年前」→ウジヤの時代(BCE787-736)の大地震
→200年後のゼカリヤ書にも記憶されている。→ゼカ14:5「ユダの王ウジヤの時代に、
地震を避けて逃れたように逃げるがよい。」→どれ位の規模のものかは不明だが、200
年後まで記憶されていたということは、相当な大地震であったであろう。
「アモス書」は、この地震をきっかけに文書化→アモスの預言には地震を暗示する預
言が→「このために、大地は揺れ動かないだろうか」(8:8)、「柱頭を打ち、敷石を揺
り動かせ」(9:1)
ヨセフスは、BCE31のユダヤの地震について記している→「家屋の倒壊のため約
1万人が命を失った」(『ユダヤ古代誌』XV,V.2)
→クムラン共同体の造営物に残る亀裂と断層は、この地震の時のもの。
v['r" (名詞)17回→「地の揺れ」
v['r:(動詞)30回→「揺れる、震える」
しばしば、ヤハウェの顕現に伴う現象として→出19:18、士5:4、詩68:9、18:8-16、
46:7、サム下22:8、王上19:11-12(エリヤへの、嵐、地震、火→ヤハウェは元来
「嵐の神」?)、ナホ1:5
終末論的描写(ヤハウェの日)→イザ13:13、エレ4:24、51:29、ヨエ2:10,
4:16,エゼ38:19-20、イザ24:18(恐怖の知らせを逃れた者は、穴に落ち込み/
穴から這い上がった者は、罠に捕らえられる。天の水門は開かれ、地の基は震え動く。)
救いの行為の先触れ→ハガ2:6、イザ29:6(万軍の主によってお前は顧みられる。
雷鳴、地震、大音響と共に/つむじ風、嵐、焼き尽くす炎のうちに。)
1.2、洪水(lWBm')、大雨、津波
1.2.1、ノアの洪水物語(創6-9章)→JとPが入り組んでいる。
神は、人間の罪のため洪水によって人類を滅ぼそうとした。
6:11「この地は神の前に堕落し、不法( sm'(x')に満ちていた。」
7:11「この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた。」
「深淵の源がことごとく裂け」→津波が暗示。(cf.詩104:5-9)→パレスチナでは津
波が知られていた。それを防ぐために神は境を設けた(詩104:9,箴8:29,ヨブ38:11)。
1.2.2、メソポタミアの洪水物語→ノアの洪水物語とよく似ている。
ギリシア語で書かれたベロッススの記事(BCE275年頃書かれたが失われた)
神々が大洪水を起こして人間を滅ぼそうとする。敬虔な人がその計画を知らされ、巨
船を造って逃れる。水が引いたかどうか鳥を放って調べる。
1.2.2.1、ジウスドラ物語→BCE2000年期前半、シュメール語。
1.2.2.2、ギルガメシュ叙事詩→BCE2000年期、アッカド語。
1.2.2.3、アトラハシス叙事詩→人間が増えて「やかましくなったので」神々が安
眠を妨げられ、滅ぼそうとした。
1.2.2.4、洪水物語の背景
BCE4000年期から2000年期にかけて、チグリス・ユーフラテス河が氾濫したこと。
インド洋で大地震が起こり、ペルシャ湾に津波が押し寄せ、メソポタミア流域に大被
害が起こった、という説も。
パレスチナには、大洪水を引き起こすような大きな川はなく、「ノアの洪水物語」は、
メソポタミアの洪水物語の影響であろう。
1.2.3、パレスチナにおける大雨による被害
豪雨の襲来によって、人間や動植物に被害をもたらし(エゼ38:22,詩78:47-48,105:32,
ヨブ14:19)、家屋はおろか(エゼ13:11)、町さえも一掃することも(イザ28:2)。
そこで、大雨は神の裁きを表現するために用いられた(イザ30:30,エゼ38:22)。
1.3、旱魃(br,j)、ひでり(tr,XoB')、飢饉(b[;r;)
パレスチナでは、すべての農作物の成長は、降雨に依存。降雨が非常に少ない場合、
しばしば飢饉に悩まされた。
創12:10以下→アブラハムは飢饉のためエジプトに移住。
創26:1以下→イサクも飢饉のためエジプトに移住。
創41章→ヤコブ一家は飢饉のためエジプトに移住。
ルツ1:1→ルツの義父母(エリメレク、ナオミ)は飢饉のためベツレヘムからモア
ブに移住。
サム下21:1→ダビデの時代、飢饉が3年間続いた。
王上17:1以下→エリヤの時代ひどい飢饉に襲われ、バアルの預言者とエリヤがカル
メル山で雨乞いの競争をした。
王下4:38,8:1→エリシャの時代飢饉が7年続いた。
雨は神の賜物であるから(エレ14:22)、飢饉は人々の罪に対する神の怒りと解釈さ
れた。→サム下21:1,王上17:1以下(エリヤの時代)、アモ4:7,エレ14:2-6,
ハガ1:6-11,2:16以下。
夏の日照りにも悩まされた(熱中症)→詩32:4,ヨナ4:8
1.4、イナゴの害(hB,r9a')
パレスチナには40種類ほどのイナゴがいる。イナゴの大群の農作物に及ぼす害は致
命的で恐れられた。→王上8:37、歴下6:28、詩78:46、イザ33:4
出10:15→エジプトでの「10の災い」の一つ。
→「エジプトの10の災い」をすべて自然災害で説明する映像→BBC製作「出エジ
プト記の真実」(ジェームズ、キャメロン監督、プロデューサー、シムカ・コボビ
ッチ)→BCE1,500頃起こった地中海サントリーニ島の大噴火の影響。
アモ7:1→アモスの第一の幻。この時アモスは神に執り成すと、神は聞き入れ、災
いを取り消した。
1.5、疫病(rb,D,)
その正確な症状の記述は乏しい。→コレラ、チフス、赤痢、天然痘、ペストなどが考
えられる。
病が伝染するため恐れられた(詩78:50、アモ4:10)。
荒れ野におけるイスラエル人の間で4回起こっている(民11:33,14:37,16:46,
25:9)
エジプトでの「10の災い」の一つ(出9:1-7,アモ4:10)。→家畜がすべて死ぬ。
ダビデの時代の疫病(サム下24:13,15)。
ヒゼキヤの時代にエルサレムを包囲していたアッシリア軍が多数死亡(王下19:35
=イザ37:36)→ヘロドトスは、これをねずみによるペストと考えた。
アモ4:9→穀物の疫病
神の裁きの先触れとして→ハバ3:5
1.6、嵐、つむじ風(r[;s;)、竜巻
パレスチナでは5月から間欠的に、時には数日間連続して、シロッコ風(アラビア語
でハムシーン)が吹く。これは南東から吹いてくる風で、砂漠の熱気と砂塵を運んで
きて、激しい時には農作物を枯死させ、大きな被害をもたらす(エゼ17:10,
ホセ13:15)。
時に、砂や塵を吸い上げて柱状になる暴風も(竜巻)
王下2:11→エリヤは竜巻に吸い上げられて天に昇った。
ヨブ1:19→家が倒れ、ヨブの子どもたちが全員死ぬ。
ヨナ1:4→ヨナの乗った船が(地中海にて)嵐に遭い、船が沈みそうになった。
1.7、雷(~[;r;)、稲妻(rwOa)
雷は神の声と考えられた(出9:23,19:16,サム上7:10、ヨブ28:26,詩77:18)。
パレスチナでは大雷雨は、11月〜3月の雨季に起こる。海からの湿気を含んだ空気
が上の冷たい空気と触れ合う時。
神顕現の随伴現象として(出19:16,20:18)
ヤハウェ(hwhy)は、アラビア語の「風が吹く」や「落ちる」を意味する語に由来
し、元来ミディアン(アラビア北西部)の自然現象を司る神であった可能性がある
(Walther Zimmerli)。ヤハウェは、雷雨を伴って南の方(エドム)からやって来る(士:4-5,
ハバ3:3)
雷は神によって引き起こされるものと見なされ、神が雷を通じて語ったり、罰したり
すると考えられた(詩9:3以下、ヨブ37:2以下)。
敵を滅ぼし、味方を救う手段としてしばしば現れる(出9:23,28,サム上7:10,
イザ29:6)。
1.8、雹(dr'B;)
パレスチナでは、降雹は時に農作物また果樹に大きな被害を及ぼすことがある。
エジプトの「10の災い」の一つ(出9:13-34,10:5,12,15詩78:47,105:32)
生命の危険も(出9:18,ヨシュ10:11)。
1890年にガリラヤで大降雹があり、カルメル山では多数の山羊が雹に撃たれて倒れ、
家の窓は小銃の弾丸に貫通されたように、雹魂によって破られた。
雹は、神の裁きの象徴(詩105:32,ハガ2:17)。
1.9、硫黄(tyrIp]G:)、火山
硫黄を含有する泉や硫黄の沈殿は、ユルダン川流域、特に死海付近で昔から知られて
いた。
ソドムの滅亡は、硫黄坑からの硫黄の燃焼か、地震によるアスファルト坑の爆発かと
されている。
聖書では、罪に対する裁きの形容として用いられている(ヨブ18:15,詩11:6,
イザ30:33,34:9,エゼ38:22)。
1.10、野獣(h[;r: hY:j')
獅子、熊、狼、ハイエナが、特に人や家畜に害を及ぼす野獣として恐れられた。
(旧約の時代、ライオンはパレスチナに生息していた)
創37:20,33→ヨセフの兄弟たちはヨセフが野獣に食われたことにした。
熊が、エリシャを嘲った42人の子どもたちを噛み殺した(王下2:24)
エレミヤの時代→エレ2:15「若獅子が彼に向かってほえ/うなり声をあげた。」
神の裁きに関連して言われる(レビ6:22,王下14:9、代下25:18,エゼ5:17,34:25,39:4)。
2、自然災害に遭った時の人々の反応
2.1、自然災害に対する人々の理解
自然災害は、神によって起こされると考えられていた。→ヨブ9:6、エレ10:10
2.2、祈りの儀式
古代イスラエルにおいて、敵の攻撃や大きな自然災害に見舞われた時、人々はひとつ
の場所、特に聖所に集まり、粗布をまとい(イザ22:12,ヨナ3:5,エレ4:8)、灰
をかぶり(ネヘ9:1,エレ6:26,ヨシュ7:6)、断食をして悲しみ(ヨナ3:5,エレ14:12)、
嘆き、神に救いを求めることを常とした。
このような時に祈られた祈りが、「民の嘆きの歌」。
Hermann Gunkelによる詩編の文学類型の「民の嘆きの歌」→詩44,74,79,80,83、
また「哀歌」はエルサレム陥落を嘆いた「嘆きの歌」を収集した作品
エレ14章、イザ63:7−64:12,ハバ1章も「嘆きの歌」
2.3、神義論の問題(「なぜ?」)
自然災害は神が起こすと考えられた。
しかしその理由が分からず、「なぜ?」「いつまで?」と神に抗議することも
「嘆きの詩編」には、これが多く出る。
44:25「なぜ、御顔を隠しておられるのですか。」
74:1 「神よ、なぜあなたは/養っておられた羊の群れに怒りの煙をはき/永遠に突
き放してしまわれたのですか。」
79:5 「主よ、いつまで続くのでしょう。あなたは永久に憤っておられるのでしょう
か。あなたの激情は火と燃え続けるのでしょうか。」
80:13 「なぜ、あなたはその石垣を破られたのですか。」
83:2 「神よ、沈黙しないでください。黙していないでください。静まっていないで
ください。」
個人的にこれを問題にしたのは、ヨブ記の著者やエレミヤや詩編22編の詩人(「わた
しの神よ、わたしの神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか。」)など。
→しかし、嘆きの祈りをするということは、神に信頼し、神に救いを求めるから。
2.4、「災害を取り除いてください」という祈り
ソロモンの奉献の祈り(王上8:37)
王上8:37−38「またこの地に飢饉が広がったり、疫病がはやったり、黒穂病、赤さ
び病、いなご、ばったが発生したり、敵がこの地で城門を封鎖したり、そのほかど
んな災い、どんな難病が生じたときにも、あなたの民イスラエルが、だれでも、心
に痛みを覚え、この神殿に向かって手を伸ばして祈るなら、そのどの祈り、どの願
いにも、あなたはお住まいである天にいまして耳を傾け、罪を赦し、こたえてくだ
さい。」
3、預言者の「威嚇の言葉」における自然災害
Hermann Gunkel→預言者の基本的な様式として「威嚇の言葉(Drohwort)」と「叱責
の言葉(Scheltwort)を挙げた。
預言者が本来神から与えられたのは「威嚇の言葉」のみで、「叱責の言葉」(理由付
け)は預言者が考えたものとする。
この「威嚇の言葉」に自然災害が多く言われている。
自然の災害は、人間の力ではどうすることも出来ず、神が起こすものと考えられた。
それゆえ、それは罪に対する裁き(ある場合は、敵からの救い)、と考えられた。
Claus Westermann→「威嚇の言葉」の代わりに「裁きの宣告」、「叱責の言葉」の代わ
りに「罪の告発」を挙げ、両方とも神によって与えられたものとする。
ホセ4:1−3「主はこの国の住民を告発される。この国には、誠実さも慈しみも/神
を知ることもないからだ。呪い、欺き、人殺し、盗み、姦淫がはびこり/流血に流
血が続いている。それゆえ、この地は渇き/そこに住む者は皆、衰え果て/野の獣
も空の鳥も海の魚までも一掃される。」
3.1、アモスにおける「威嚇の言葉」
2:13「見よ、わたしは麦束を満載した車が/わだちで地を裂くように/お前たちの足
もとの地を裂く。」→地震が暗示
5:19「人が獅子の前から逃れても熊に会い/家にたどりついても/壁に手で寄りかか
ると/その手を蛇にかまれるようなものだ。」→野獣
8:8 「このために、大地は揺れ動かないだろうか。そこに住む者は皆、嘆き悲しまな
いだろうか。大地はことごとくナイルのように盛り上がり/エジプトの大河のよう
に押し上げられ/また、沈まないだろうか。」→地震が暗示
9:1 「柱頭を打ち、敷石を揺り動かせ。すべての者の頭上で砕け。」→地震が暗示
3.2、ホセアにおける「威嚇の言葉」
2:5 「また、彼女を荒れ野のように/乾いた地のように干上がらせ/彼女を渇きで死
なせる。」→旱魃
4:3「この地は渇き/そこに住む者は皆、衰え果て/野の獣も空の鳥も海の魚までも
一掃される。」→旱魃が暗示
10:2 「彼らの偽る心は、今や罰せられる。主は彼らの祭壇を打ち砕き/聖なる柱を
倒される。」→地震が暗示
13:7−8 「そこでわたしは獅子のように/豹のように道で彼らをねらう。子を奪わ
れた熊のように彼らを襲い/脇腹を引き裂き/その場で獅子のように彼らを食ら
う。野獣が彼らをかみ裂く。」→野獣
13:15 「エフライムは兄弟の中で最も栄えた。しかし熱風が襲う。主の風が荒れ野か
ら吹きつける。水の源は涸れ、泉は干上がり/すべての富、すべての宝は奪い去ら
れる。」→つむじ風
3.3、イザヤにおける「威嚇の言葉」
5:24 「それゆえ、火が舌のようにわらをなめ尽くし/炎が枯れ草を焼き尽くすよう
に/彼らの根は腐り、花は塵のように舞い上がる。彼らが万軍の主の教えを拒み/
イスラエルの聖なる方の言葉を侮ったからだ。」→落雷による火事が暗示
10:16 「それゆえ、万軍の主なる神は/太った者の中に衰弱を送り/主の栄光の下に
炎を燃え上がらせ/火のように燃えさせられる。」→山火事が暗示
30:30 「主は威厳ある声を聞かせ/荒れ狂う怒り、焼き尽くす火の炎/打ちつける雨
と石のような雹と共に/御腕を振り下ろし、それを示される。」→雷、大雨、雹
34:9 「エドムの涸れ谷は変わってピッチとなり/その土は硫黄となる。その土地は
ピッチとなって燃え上がる。」→硫黄
3.4、エレミヤにおける「威嚇の言葉」
4:11 「荒れ野から裸の山々の熱風が/わが民の娘に向かって吹きつける。ふるい分
ける風でも、清める風でもない。」→つむじ風
4:24 「わたしは見た。見よ、山は揺れ動き/すべての丘は震えていた。」→地震
4:26 「わたしは見た。見よ、実り豊かな地は荒れ野に変わり」→旱魃
5:6 「それゆえ、森の獅子が彼らを襲い/荒れ地の狼が彼らを荒らし尽くす。豹が町
々をねらい/出て来る者を皆、餌食とする。彼らは背きを重ね/その背信が甚だし
いからだ。」→野獣
14:12 「わたしは剣と、飢饉と、疫病によって、彼らを滅ぼし尽くす。」
→「剣と飢饉と疫病」の三重の災害は、エレミヤ書に頻出(他に21:9,24:10,27:8,
13,29:18,32:24,36,38:2,42:17,22)
21:14 「わたしはお前たちの悪事の結果に従って報いると/主は言われる。わたしは
火を周囲の森に放ち/火はすべてを焼き尽くす。」→落雷による山火事
23:10 「国土は呪われて喪に服し/荒れ野の牧場も干上がる。」→旱魃
23:19 「見よ、主の嵐が激しく吹き/つむじ風が巻き起こって/神に逆らう者らの頭
上に渦を巻く。」→嵐、つむじ風
25:32 「見よ、災いが一つの民から出て他の民に及ぶ。激しい嵐が地の果てから起こ
る。」→嵐
51:29 「大地は震え、ねじれる。主の定めがバビロンに成就し/バビロンの国を人の
住まない廃虚とされるから。」→地震
3.5、エゼキエルにおける「威嚇の言葉」
5:17 「わたしは飢えと狂暴な獣をお前たちに送り込み、子供たちを奪わせる。疫病
と流血はお前の中を通り抜ける。またわたしは剣をお前に臨ませる。」
→飢え、野獣、疫病、剣の四重の災害→4は完全数であり、四重の災害は最も大き
な災害の表現。→ヨブを襲った災難も4回たたみかけられている。
6:11 「イスラエルの家の忌まわしいすべての悪事を嘆け。彼らは剣と、飢饉と、疫
病によって倒れるからだ。」
→エレミヤ同様、三重の災害がよく言われる。
剣、飢饉、疫病→6:11,7:15,12:16
豪雨、雹、暴風→13:11,13:13
剣、獣、疫病→33:27
14:13 「もし、ある国がわたしに対して不信を重ね、罪を犯すなら、わたしは手を
その上に伸ばし、パンをつるして蓄える棒を折り、その地に飢饉を送って、そこか
ら人も家畜も絶ち滅ぼす。」→飢饉
14:21 「わたしがこの四つの厳しい裁き、すなわち、剣、飢饉、悪い獣、疫病をエル
サレムに送り、そこから人も家畜も絶ち滅ぼすとき、」→四重の災害
21:3 「わたしはお前に火をつける。火は、お前の中の青木も枯れ木も焼き尽くす。
燃え盛る炎は消えず、地の面は南から北まで、ことごとく焦土と化す。」→山火事
3.6、ミカにおける「威嚇の言葉」
1:4 「山々はその足もとに溶け、平地は裂ける/火の前の蝋のように/斜面を流れ下
る水のように。」→地震による地滑り?
3.7、ナホムにおける「威嚇の言葉」
1:5 「山々は主の御前に震え/もろもろの丘は溶ける。大地は主の御前に滅びる/世
界とそこに住むすべての者も。」→地震
1:8 「みなぎる洪水で逆らう者を滅ぼし/仇を闇に追いやられる。」→洪水
4、終末論における自然災害
終末の時にしばしば大きな自然災害が起こるということが預言される。
「イザヤの黙示録」(24−27章)、「マゴグのゴグに対して」(エゼ38−39章)
イザ24:18 「天の水門は開かれ、地の基は震え動く。」
イザ24:19 「地は裂け、甚だしく裂け/地は砕け、甚だしく砕け/地は揺れ、甚だし
く揺れる。」
イザ13:10 「天のもろもろの星とその星座は光を放たず/太陽は昇っても闇に閉ざさ
れ/月も光を輝かさない。」→宇宙的大災害
エゼ38:19 「わたしは熱情と怒りの火をもって語る。必ずその日に、イスラエルの地
には大地震が起こる。
エゼ39:4 「わたしはお前をあらゆる種類の猛禽と野の獣の餌食として与える。」
エレ4:23ー24 「わたしは見た。見よ、大地は混沌とし/空には光がなかった。 わた
しは見た。見よ、山は揺れ動き/すべての丘は震えていた。」
ヨエ2:10 「その前に、地はおののき、天は震える。太陽も月も暗くなり、星も光を
失う。」→宇宙的大災害
ハガ2:6 ま「ことに、万軍の主はこう言われる。わたしは、間もなくもう一度/天と
地を、海と陸地を揺り動かす。」
5、神の自然支配への信仰
ヤハウェは、自然を支配する方であり、自然現象を用いて民の救いや裁きを行うこと
ができる、という信仰。
ヤハウェは自然災害をも支配される。
ヤハウェは、自然災害を起こすことも出来(ハガ1:11→旱魃;2:17→疫病、雹)、ま
たそこから救うことも出来る。
それゆえ、自然災害が起こった時は、ヤハウェに嘆き、救いを祈った。
ヤハウェは、創造の時、地の基を太古の海の中の支柱の上に据え(詩24:2,104:5)、
自身の顕現に際してその民の救いのため、あるいは裁きのために、地を震わせる(士
5:4,士97:4-5,99:1)。
最終的には、自然を更新される。→イザ65:17 「見よ、わたしは新しい天と新しい地
を創造する。」