関西学院大学・キリスト教学B(旧約聖書概論)
目 次
(1)オリエンテーション、旧約聖書序論
(2)旧約聖書の世界
(3)創世記の物語(1)
(4)創世記の物語(2)
(5)出エジプト記と十戒
(6)士師記(部族連合時代)
(7)王国の成立(ダビデ、ソロモン)
(8)王国の歴史
(9)預言者について
(10)予言者A(アモス、ホセア、イザヤ)
(11)予言者A(エレミヤ、エゼキエル、第二イザヤ)
(12)文学書(詩編、ヨブ記、箴言)
(序)オリエンテーション
授業の諸注意 授業は講義形式→よくノートをとること
出席は時間の都合上とらない
評価は、学期末の試験による
私語は慎むように
授業内容 キリスト教の思想の基本である聖書について学ぶ
秋学期は、旧約聖書について
いろいろな資料を画像でも見せる
教科書 『聖書 新共同訳』(聖書にはいろいろな訳がある)
参考書 樋口 進『よく分かる旧約聖書の歴史』日本キリスト教団出版
局、2000年。
評 価 基本的に学期末の試験による
(1)旧約聖書序論
旧約聖書→古代イスラエルの歴史(イエス・キリスト以前→キリスト教
の前史)→約2000年の歴史
ヘブライ語原典→三部からなる
@律法(トーラー)→創世記〜申命記→前5C頃成立
A預言者(ネビイーム)→前2C頃成立
前の預言者→ヨシュア記〜列王記
後の預言者:三大預言者→イザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書
十二小預言者→ホセア書〜マラキ書
B諸書(ケスビーム)→紀元1C頃成立
主要なもの→ヨブ記、詩編、箴言
メギロート(巻物)→ルツ記、エステル記、コヘレトの言葉、雅
歌、哀歌→祭りの時に朗読された
その他→ダニエル書、歴代誌、ネヘミヤ記、エズラ記
ユダヤ教では、「タナク」と言う。
旧約聖書のギリシア語訳→七十人訳(セプトゥアギンタ)
前3C頃→当時のオリエント世界でギリシア語が公用語になったた
め →まず、律法(トーラー)から翻訳
偽典「アリステアスの手紙」→エジプトのアレキサンドリアに七十
人のユダヤ人が集められ、七十日で翻訳した、という伝説。
日本語の聖書は、七十人訳の順序(創世記〜マラキ書)
七十人訳の構成
T、モーセ五書:創世記→申命記(トーラー)と同じ
U、歴史書:ヨシュア記→エステル記
V、文学書:ヨブ記→雅歌
W、予言書:イザヤ書→マラキ書
旧約聖書は、ユダヤ教の聖典
キリスト教では新約聖書と合わせて聖典
イスラームでも尊重されている。
旧約聖書は、しばしば芸術の題材とされる。
シャガール、レンブラント、ラファエロ、ミケランジェロなど。
(2)旧約聖書の世界
a)聖書の舞台
パレスチナ→旧約時代カナン;新約時代ユダヤ
CE2C以後→パレスチナ(ペリシテ人の地)
西アジア、東地中海の南3分の1(北3分の2はシリア)
四国ぐらいの広さ→聖書の舞台
北には、年中雪を頂くヘルモン山(標高2,814m)
南方世界最低の湖死海(海面下400m)
ユダの荒れ野、クムラン(死海写本)
死海とガリラヤ湖の間はヨルダン川(現在イスラエルとヨルダンとの国
境)
寒帯から熱帯に及ぶ多種多様な動物、植物
(植物に関しては、吉岡記念館横のベルスクエアに聖書の植物が30種類
ほど植えられている)
メソポタミアとエジプトを結ぶ「通路の国」→周辺の諸民族
多くの民族が交流した。
首都エルサレム→3大宗教の聖地
ユダヤ教→神殿
キリスト教→イエスが十字架にかかり(ヴィア・ドロローサ)、復活し
た場所(キリスト教発祥の地)
イスラーム→ムハンマドが昇天したところ(黄金のモスク)
b)旧約聖書の歴史
BCE20〜15世紀:イスラエル民族の先祖(族長)、メソポタミアよりカナンに
移住
13C後半:イスラエル民族の一部、モーセの指導のもとエジプトより脱出
シナイ山で「十戒」を授けられる
12C〜11C:カナン(パレスチナ)に定着し、12部族連合を結成
→これがイスラエル
1000年頃:ダビデによるイスラエル王国建設、エルサレムを首都とする
965年頃:ソロモン、エルサレム神殿建築
926年:ソロモンの死。
その後王国は二つに分裂(北:イスラエル王国、南:ユダ王国)
721年:北イスラエル王国、アッシリア帝国によって滅ぼされる
587年:南ユダ王国、バビロニア帝国によって滅ぼされる。バビロン捕囚
その後ユダヤは、ペルシア帝国、ギリシア、エジプト、シリア、ローマ帝
国によって支配される。
イスラエル民族は、ユダヤ人として、世界の各地に離散(ディアスポラ)
(3)創世記の物語(1)創造物語
@天地創造の物語(創世記1-2章)
1章の記事と2章の記事は、創造に関する2つの版
1章→P(祭司)資料→バビロン捕囚の時代(BCE.6C)←バビロニアの創
造神話の影響
2ー3章→J(ヤハウィスト)資料→ダビデ・ソロモンの時代(BCE.10C)
P(1章)→7日で創造した
第1日目→光の創造、光と闇を分ける
光を昼と呼び、闇をよると呼んだ→神の昼と夜への支配
第2日目→大空(ラーキーア)の創造
上の水と下の水を分けた→秩序
第3日目→陸と海の分離
乾いたところを地と呼び、水の集まった所を海と呼んだ
植物の創造
植物も種類分け(穀物と果物)→動物と人間の食べ物
第4日目→天体の創造
二つの光るもの(太陽と月)→古代オリエントでは神
第5日目→魚と鳥の創造
「生めよ、増えよ」という祝福の言葉
第6日目→陸の動物(家畜、這うもの、地の獣)の創造
人間の創造(男と女)
J(2−3章)→人間の創造に関心(天地の創造はない)
2:7→神は最初「土(アダマ)の塵で人(アダム)を造り、その鼻に命の
息を吹き入れた」
→そして、エデンの園(「喜び」という意味)に置かれた。
2:18→「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう」
→人間は、人との関係において生きる存在
→そして、あばら骨から女を造った
→この女は後にエバ(いのち)と名付けられた。
b、人間の創造(人間観)
「人間とは何か」というテーマ→昔からある
一般に:homo sapiens→賢いもの、知恵あるもの
homo faber→道具を使うもの
homo esperans→希望を持つもの
homo ludens→遊ぶもの
@旧約聖書では、神によって創造された被造物
P→1:27 J→2:7
「神のかたち」 「人」→アダム
Imago Dei 土→アダマー
人間の優秀さ 「土の塵」→人間のちっぽけさ
Aしかし、すべての被造物を治めるものとして造られた
→自然界の保護、管理の務め
P→1:28「地を従わせよ」 J→2:19
「生き物を支配せよ」 名をつける→支配を表す
B男と女に造られた
P→1:27 J→2:18
最初から男女に 「彼に合う助ける者」
→人間は1人で生きる者ではなく、助け合って生きる者
(4)創世記の物語(2)罪と罰
J資料→人間の罪と罰(と救い)の問題を扱う
@楽園追放(3章)
原罪(神に対する罪)→失楽園
→三浦綾子『氷点』のテーマ
聖書における罪→人間を創造した神の戒めを守らないこと(創造者を無視
すること)
楽園→豊富な食べ物があり、どの木から食べてもよかったが、「善悪の知識
の木」からは食べてはならないという戒め。禁断の木の実
蛇→誘惑するもの(後のサタン)→人間を神から引き離そうとする力
→これは常に人間の欲に働きかける
蛇の誘惑→「神のように善悪を知る者となる」
「善悪を知る」とは、すべてを知るということ
→人間はすべてを知りたいという欲がある
この誘惑に負け、アダムもエバも禁断の木の実を食べる
→死ぬことはなかったが、羞恥心が起こる←原因物語
神に問われたとき、アダムもエバも言い訳をする
→アダム:「女が与えたので食べました」→女に責任転嫁する
→エバ:「蛇がだましたので、食べました」→蛇に責任転嫁する
罰として、女には産みの苦しみが、アダムには労働の苦しみが与えられる
→原因物語
罰→楽園追放→エデンの東に
しかし、神は二人に皮の衣を贈る→神の恵み
エデンの園は、ケルビムが守る
Aカインとアベルの物語(4章)→人に対する罪(殺人)
アダムとエバの子
カイン→農耕者になる
アベル→牧羊者になる
古代社会の生産様式:狩猟→牧畜→農耕(定住)
2人は神に献げ物を献げる
カイン→農耕の産物
アベル→羊の子
神は、アベルの献げ物を喜び、カインの献げ物を喜ばなかった
なぜ→?
ひとつの説明→著者は牧畜に好意的
シュメールの神話「ドゥムージー(牧畜神)とエンキドゥー(農耕
神)」
しかしこれは、不条理の問題→この世には説明のつかない不条理がある
そういうとき、どうするかは、人間に与えられた課題
カインは、弟に嫉妬し、怒りを覚え、ついには殺してしまう。
神の罰→地の放浪者となる
神の恵み→カインに危害を加えないように、しるしを付けた。
Bノアの洪水物語(6-9章)
→二つの資料
J資料(前10世紀)
P資料(前5世紀
→古代オリエント(メソポタミア)にも似た話
ギルガメシュ叙事詩(前2000年頃)
アトラム・ハシース物語(前200年頃)
→このような物語の背景→チグリス・ユーフラテス川の氾濫
→パレスチナには、大洪水を起こす大きな河はない
「ノアの洪水物語」→メソポタミアの洪水物語の影響
しかし、思想的に深化
洪水の原因:ギルガメシュ叙事詩→不明(欠損?)
アトラム・ハシース物語→地上に人間が増え、喧騒になったの
で
ノアの洪水物語→人間の罪
J→「地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い
計っていた」
P→「地は神の前に堕落し、不法に満ちていた」
「堕落」→神を畏れない
「不法」→暴力
神の罰→大洪水によって滅ぼす
しかし、人類をすべて滅ぼすのでなく、ノアとその家族、及び動物を救う
大きな箱舟を造らせる→これはメソポタミアの洪水物語も同様
大きさは、長さ165m、幅27m、高さ16.5m
そこに、ノアとその家族(8人)、動物一つがいが入る。
人が動物の世話をしたであろう。
40日間雨が降り続き、人も動物をすべて滅びた。
150日後に箱舟は、アララト山に止まる。
アララト山→トルコ東端の山(5,137m)
ノアは、鳥を放って水が引いたかを調べた(烏、鳩、鳩)
→ギルガメシュ叙事詩にも同じ記述
二度目の鳩は、オリーブの葉をくわえて戻る
オリーブ→平和の象徴
ノアは、船を下り、まず祭壇を築いて、犠牲の動物を献げた。
その後、空に虹がかかる
「ノアの契約」→神は再び人類を滅ぼさないと誓う。→神の恵み
Cバベルの塔の物語(創世記11:1-9)→J資料
バベル→バビロン
バビロンには、ジッグラトという高塔神殿があった
それをもとに作られた物語
世界は同じ言葉を使っていた
人間は、頂上が天に届くような塔を建てようとした→人間の傲慢
それは、罪となった←聖書において人間が神のようになることは許されて
いない
罰として、言葉が乱され(バラル)、コミュニケーションが取れなくなった。
人々は、町の建設をやめ、各地に散らばった。
(5)創世記の物語(3)族長物語
族長→イスラエル民族の先祖
→アブラハム、イサク、ヤコブ
(創世記12-50章)
@アブラハム
カルデアのウル(古代シュメールの首都)→ユーフラテス河上流のハラン
父と共に移動→アラム人の部族集団の移動と関係(前18世紀)
ハラン→カナン(アブラハムと妻サラと甥のロトと3人で)
アラム人の移動→第1波:前19・18世紀、アラビア半島から北へ。
創世記11:31、バビロン第一王朝(前1894〜1595年)
第2波:前14・13世紀、エドム人、モアブ人、アンモン
人、イスラエル人がパレスチナに定着。
→イスラエルの先祖は、アラム(ユーフラテス川上流)から羊や山羊など
の小家畜を連れてカナンに移動してきた集団。
彼らは、大家族の集団を形成し、牧草をおいながら移動していた半遊
牧民であった。
アブラハム、イサク、ヤコブは、そのような大家族の長であった。
それぞれの集団は、それぞれ自分たちの先祖の神を崇拝していた。
→アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神(出エジプト記3章)。
後にヤハウェに同一視されていった。
アブラハムは、シケムとヘブロンで祭壇を築いた(創世記12:7、13:4、
18)。
アブラハム→子孫にカナンの土地を与えられるという約束
しかし、跡継ぎが中々できなかった。
そこで、養子を取ろうとした。
しかし、神は、星のような子孫を与えると約束→アブラハムはこれを信じ
る→アブラハムは後代の人に信仰の人として賞賛される。
妻サラは、自分の女奴隷ハガルをアブラハムに与えて子をもうける。
イシュマエルという子。←アラブ人の先祖
甥のロトの集団と分かれる
ロトの集団は、死海の南部のソドムに住む
ソドムの町は、邪悪だったので、神によって滅ぼされる。
ロトとその家族は、ソドムの町を抜け出して助かるが、ロトの妻は後ろを
振り返ったので、塩の柱となる。←原因物語
アブラハムと妻サラとの間に約束通り子どもができる。
イサクと名付ける。
ハガルとイシュマエルは、追放される。
イシュマエルは、アラビアの砂漠に行き、そこでアラブ人の先祖となる
アブラハムは、ひとり子のイサクを焼き尽くす献げものとして捧げるよう
に命じられる。
→アブラハムは、神の命令に従い、モリヤの山で献げようとするが、神
によって止められる。→アブラハムの信仰。
(6)出エジプト記
前13世紀後半、イスラエルの民はエジプトで奴隷であった。
モーセは、その奴隷の民をエジプトから救い出した
→「出エジプト記」
→映画「十戒」
当時のエジプトの王(ファラオ)は、ラメセスU世(前1290-1224年)
奴隷を使って、巨大な建築事業を展開。
出エジプト記で、イスラエルの民は「ヘブライ人」と言われている。
→人種ではなく、社会層
→外国から移住してきた者で、自分の土地や市民権を持たず、そこの権力者
によって強制労働などにつかされていた階層。
そのヘブライ人の1人としてモーセは誕生
ファラオは、男子が増えるのを恐れて、男の赤ちゃんを殺させた。
モーセの両親は、赤ちゃんを殺すのに忍びなく、パピルスで編んだかごの中
に赤ちゃんを入れて入れてナイル川に流す。
それを、ファラオの娘が拾い、自分の子として育てる。
モーセは、大きくなったとき、自分が奴隷の子であることを知り、奴隷の監
督であるエジプト人を殺す。
王の報復を恐れて、東の荒れ野(ミディアン)に逃げる。
ミディアンの地で、羊飼いの娘と結婚し、羊飼いとして生活する。
ある時、羊を追ってシナイ山の所に来たときに、神に出会い、神の召命を受
ける。
そして、エジプトに行って、奴隷であるイスラエルの民を救い出せと命じら
れる。
エジプトにおいて、ファラオと交渉し、いろいろな奇跡を起こして、ついに
奴隷の民をエジプトから連れ出すことに成功。
しかしその後、ファラオは軍隊を率いて逃亡者一行を追跡する。
イスラエルの民は、海に追い詰められて、絶体絶命に危機に遭遇する。
そのとき、モーセは、神から与えられた杖を海にかざすと、海は二つに割れ、
イスラエルの民はその間を通って、向こう岸に渡った。
エジプトの軍隊もその跡を追跡したが、海が元通りになり、皆おぼれてしま
った。→「海の奇跡」として、後々まで伝承される。
→元来は、強い東風が吹いてきたという自然現象であったであろう。
モーセは、救い出した、イスラエルの民を、シナイ半島の南のシナイ山に連
れて行き、そこで、神から「十戒」をもらう。
十戒
序:神の自己紹介「わたしはヤハウェ、あなたをエジプトの国、奴隷の家か
ら導き出した神である」
@「あなたは、わたしのほかに何者をも神としてはならない。」
→唯一神信仰
A「あなたは、自分のために、刻んだ像を造ってはならない。」
→偶像の禁止
B「あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。」
→ヤハウェという名を、呪いなどに用いてはならない。
→後にhwhyを「アドナイ(主)」と発音され元来の発音がわからなく
なった。
C「安息日を覚えて、これを聖とせよ」
→安息日(土曜日)には、仕事をしてはならない。
D「あなたの父母を敬え」
E「あなたは、殺してはならない」
F「あなたは、姦淫してはならない」
G「あなたは、盗んではならない」
H「あなたは、隣人について偽証してはならない」
I「あなたは、隣人の家をむさぼってはならない」
その後イスラエルの民は、シナイを出発してカナンに向かうが、罪を犯した
ために、40年間荒れ野を放浪することになる。
数々の試練を与えられるが、その時々に神の救いも与えられる。
水や食糧の不足→岩から水が出る。天からマナが降る。
モーセは、カナンの直前のピスガの山で死ぬ。
(7)、士師記(部族連合時代)
部族連合時代(BC.1200-1000頃)
土地取得→「統一的軍事征服説」「平和的浸透説」
多くのことから見て、パレスチナに侵入してきたイスラエル諸部族は、
まずカナンの町が余りなかった山地に定住し、堅固な都市が多くあった
平野部には足を踏み入れることができなかった。
半遊牧民が沃地に定着する場合→一連の牧場交換の経過。
→牧畜から農耕、小家畜飼育から牛の飼育、天幕生活から、家屋
ヨシュ6章の「エリコの占領」→原因物語
考古学的にも、エリコの城壁の破壊は、イスラエルの民の進入よりも前
イスラエルは、紀元前13世紀の終わり頃にカナンに定着してから、約200
年間、王国(国家)に移行せずに特異な形態
同じ時期にペリシテ人、エドム人、モアブ人、アンモン人などのパレスチ
ナに定着した他の民が間もなく王国に移行
人々を支配するのはこの世の権力者ではなく、神(ヤハウェ)が唯一の支
配者である、という信仰からであったと思われる。
→十二の部族の連合体
「イスラエル」という名→連合体に対する名称であった。
創世記35章23−26節にヤコブの十二人の子のリストがある。
レアの子として6人。→六部族の連合を形成していた。
最終的に十二部族連合が形成され、これがそのままイスラエルと呼ばれた。
十二部族連合の出発→シケム契約。
→ヤハウェに仕えるという契約(シケム契約)
イスラエルの十二部族連合とは。
→共通のヤハウェ宗教。→中央聖所(幕屋、契約の箱)
→年三度の大祭には、各部族の代表者が中央聖所に集まった。
(春の除酵祭、初夏の七週祭、秋の仮庵祭)。
諸部族間の紛争の解決→士師。
イスラエルの法に則って、部族間の争い事を調停
士師は、二つの種類→小士師。部族間の争い事を調停していた本来の「裁
き人」。
大士師→イスラエル外から敵が攻めて来た時に、諸部族から兵を招集し
て軍事的な指導をし、防衛→「カリスマ的指導者」
ミディアン人との戦い→ギデオン
ミディアン人が、このらくだを使って荒れ野を越えて、イスラエルに
攻めて来た。
ギデオンは最初イスラエル諸部族から兵を集めた時、32,000人集まった。
300人を闇夜に率いて奇襲攻撃をかけたところ、ミディアン人は同士
討ちをして大敗したというのである(7章)。
ペリシテ人の危機の時に立てられたカリスマ的指導者はサムソン。(士
師記13-16章)
カリスマ→怪力(髪の毛に秘密)
ペリシテのデリラの誘惑に負ける
→部族連合という体制の限界→王国へ移行
(8)王国の成立(ダビデ、ソロモン)
イスラエル十二部族連合→政治的な組織を持たない
ペリシテ人の圧迫(BCE11C)→カリスマ的指導者で防衛することの限界
ペリシテ人(海の民)→地中海からパレスチナに移住し、5つの都市国家を建設
(ガザ、アシュケロン、アシュドド、ガト、エクロン)。
ペリシテ人は、この強力な軍隊を用いてイスラエルを攻め、部族連合の中心で
あった神の箱を奪い、中央聖所の城を破壊し、その聖所の祭司エリの二人の
息子も殺した。
イスラエルの各地には、ペリシテの守備隊がおかれるようになった。
サムエルの活動→預言者、カリスマ的指導者、祭司
彼の最大の功績は、イスラエルに王を立てたこと。
サウルに、次にダビデに、油を注いで、王に任命した。
a、サウル
最初、預言遮断に入った。
サウルの主な仕事は、ペリシテの軍隊をイスラエルから追い出すこと。
軍事的な指導者→カリスマ的指導者
サムエルに油注がれて、「指導者(ナーギード)」にされた。
ナーギード→王のような絶対権力者ではなく、軍事的指導者
アンモン人と戦い勝利した。
傭兵によって、常備軍を作った。
しかし、預言者サムエルの命令に従わず、断罪され、力を失った。
最後は、ペリシテ人とのギルボア山での戦いに敗れ、自害した。
b、ダビデ
ダビデは、初めてイスラエルに世俗の王権を確立。
今でもダビデは、イスラエルでは英雄。
→国旗は、「ダビデの星」
→ダビデをたたえる民謡、大きな通り(ダビデ通り)、大きなホテル(ダビデ王
ホテル)など。
ベツレヘムでは羊飼いをしていた。
彼は最初、サウルの部下として仕えた。
しかし、彼は戦いにおいて次々と武勇を立てたので、サウルに妬まれた。
そして、サウルにいのちを狙われるようになった。
そのような精神不安定なサウルをダビデはハープで慰めた。
ダビデはサウルにいのちを狙われたので、逃亡生活をする。(エンゲディ)
サウルがギルボア山での戦いで戦死した後、ユダの王に任命された。
彼はヘブロンで7年間ユダの王として働いた後、イスラエルの王にも任命され、
統一王国の王となった。
イスラエルの首都を定めた→エルサレム(カナン人の町を武力で占領)
この町は、ユダとイスラエルのちょうど中間にあって、全体を治めるには位置
的に非常に都合が良かった。
さらに彼は、そこに部族連合の聖所であった「神の箱」を運んだ。
→エルサレムは、宗教的な中心地→聖地→現代に至るまで。
→現代は、3大宗教の聖地(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)
→神殿(嘆きの壁)
→キリスト教(ヴィア・ドロローサ、イエスの十字架の場所、聖墳墓教会)
→イスラム教(ムハンマドが昇天した場所に黄金のモスク)
その後ダビデは周辺の小国を征服し、ひとつの大国を築いた。
しかし、晩年はスキャンダルや後継者争いで騒動が多かった。
c、ソロモン
王位継承の争いの結果、勝利したのはバト・シェバの息子ソロモン。
ダビデの王国は、領土的にも民族的にも財政的にも膨大なものであり、ソロモ
ンのもっぱらの務めは、この遺産を維持・管理すること。
常備軍の制度を整えた→馬にひかせる戦車をエジプトから導入。
数々の建築事業
→エルサレム神殿の建築(7年かかって豪華なものを)
→神の住まいとして、エルサレムの非常に聖なる場所となった。
→王宮の建築(13年かかって豪華なものを)
→全国から強制労働者を集めた→後に民衆の不満
→徴税の制度を整えた→後に民衆の不満
諸国との貿易を盛んにし、それによって莫大な利益を得た。
→パレスチナは地下資源はないが、通路の国。
→ソロモンの栄華
→アラビア半島の南のシェバから訪ねてきた女王もソロモンの宮殿の豪華さ
を見て圧倒された。
ソロモンは、知恵者としての有名
→『箴言』や『コヘレトの言葉』の著者とされた。
→彼の知恵は、夢で神によって与えられた。
→ソロモンの裁き
→今でいる「動物学」「植物学」の知識にも秀でていた。
しかし、強制労働や重税のため民衆の不満も多く、死後は国は二つに分裂。
→北:イスラエル王国
→南:ユダ王国:ダビデ家がついでいく。
(9)王国の歴史
ソロモンの死後(前926年)→王国は二つに分裂
→北:イスラエル王国
→南:ユダ王国
@北イスラエルの歴史
政治的にはきわめて不安定→19人の王のうち8人までが暗殺(王朝の交
代)
3代以上にわたって王位が継承されたのは、オムリ王朝とイエフ王朝のみ。
a、ヤロブアムT世
ソロモンに謀反を起こしてエジプトに亡命していた。
ソロモンの死後、北イスラエルの王に迎えられた。
ダンとベテルに国家聖所を建て、金の子牛を安置した。←預言者より非難
b、オムリ王朝(前878-845)
4代の王が王位を継承し、約30年続く
オムリ→カナン人からサマリアの山を買い取り、そこを北イスラエルの首都
に
→フェニキアと外交関係を結び、商取引を盛んにした。
→自分の息子(アハブ)とフェニキアの王の娘(イゼベル)とを政略結婚
イゼベル→バアル礼拝を持ち込む、ヤハウェ礼拝を禁じる
エリヤという預言者が、これと戦う。
c、イエフ王朝(前845-747)
イエフという将軍が革命を起こし、オムリ王朝を倒し、イエフ王朝を打ち
立てた。
5代の王が王位を継承し、約100年続く
ヤロブアムU世の時代は、しかしイスラエルは最後の繁栄を享受。
d、北イスラエルの滅亡
アッシリア帝国のシャルマナサルV世の攻撃
首都サマリアは、3年間包囲された後に陥落
前721、サルゴンU世によって、北イスラエルは滅亡。
上層階級は、アッシリアのまちまちに捕らえ移される。
国土は、アッシリア帝国のサマリア州とされる。
ここに住む人が、後のサマリア人と呼ばれるようになる。
A南ユダの歴史
南ユダは、国土も勢力も北イスラエルより小さかったが、ダビデ王朝と首都エ
ルサレムを受け継ぎ、比較的安定
そのため、北イスラエルが滅ぼされてなお135年生き延びた。
ダビデ王家が王位を継承し(ダビデ王朝)、ダビデ王家の支配が中断したのは、
アタルヤの6年間の支配のみ。
a、前8世紀
前745→アッシリア帝国にティグラト・ピレセルV世即位
→パレスチナ・シリアに侵略
シリア(アラム)とエフライム(北イスラエル)→反アッシリア同盟結成
→ユダをも引き入れようとした
→ユダの王アハズはこれを拒絶
→同盟軍がエルサレム攻撃(シリア・エフライム戦争=BCE734)
エルサレムは恐慌に陥る→イザヤは「落ち着いて静かにしていなさい」と勧告。
アハズ王→莫大な貢ぎを送ってアッシリアの援助を求める
→アッシリアは、直ちにシリアとイスラエルを攻撃
→ユダ王国は、アッシリア帝国の属国となる。
次のヒゼキヤ王は、エルサレムの防備を固める
城壁の外から水を引く水路を造る→現在にまで残っている。
前701→アッシリアの王センナケリブはエルサレムを包囲
エルサレムは絶体絶命の危機に陥るが、かろうじて危機を免れた
→エルサレムは神の都なので不滅だという迷信が生じる
b、ヨシヤの時代
前622→ヨシヤ王は宗教改革を断行
→神殿から見つかった「律法の書」に基づいて、偶像を一掃した。
→礼拝所をエルサレム神殿のみにした。
→アッシリアの弱体化に乗じて、かつての北イスラエルにも遠征した。
前609→メギドの戦いで、エジプトのファラオ・ネコに破れ、命を落とす。
→この後ユダ王国は、エジプトの支配下
ネコは、次の王エルヤキムをヨヤキムと改名→エジプトの統治権
前605→カルケミシュの戦いで、ネブカドネツァル王率いるバビロニア帝国がエ
ジプトに勝利
ユダ王国は、バビロニアの支配下に。
→朝貢の義務
ヨヤキムは、朝貢を中止したため、バビロニア軍がエルサレムを包囲。
ヨヤキン王を始め主だった人々がバビロンに捕囚となる(第1回捕囚)
ユダでは、ゼデキヤが王となる
ゼデキヤは、朝貢を中止したため、エルサレムはバビロニア軍に包囲され、
前587にエルサレムは陥落。→ユダ王国滅亡
→第2回バビロン捕囚
→エルサレム神殿の破壊
ユダは、バビロニア帝国の1州とされる。
(10)預言者について
預言者がたくさん輩出したことが旧約宗教の特質
前9世紀から6世紀に集中している(王国時代)
ヘブライ語原点の第二部→「預言者(ネビイーム)」
三大預言者→イザヤ、エレミヤ、エゼキエル
十二小預言者→ホセア、ヨエル、アモス、オバデヤ、ヨナ、ミカ、ナホム、
ハバクク、ゼファニヤ、ハガイ、ゼカリヤ、マラキ
@預言者とは
ギリシア語→プロフェーテース→「公に語る者」
→神の言葉を人々の前で語る
→神の「召命」を受ける
→自ら志願して預言者になるのではない
→それを商売にするのではない→無報酬(マックス・ウェーバー)
「神の言葉」は、しばしば厳しいもの
→特に、人々が罪を犯したときに預言者は遣わされる
→罪の告発(十戒などの法に違反)
→裁きの宣告(大災害、家族の断絶、国家の滅亡など)
→預言者はしばしば、人々(特に権力者)から迫害を受けた。
Aナタン(前10世紀)
ダビデ王の宮廷預言者
バト・シェバ事件の時にダビデを断罪する(サムエル記下11章、P.495)
ダビデ王→イスラエルを統一した偉大な王→最も尊敬されている人物の1人
しかし、スキャンだを起こす。
屋上から、1人の美しい女性(バト・シェバ)が水浴しているのを見、その
女を自分の妻にしたいと思った。
しかしその女には、夫(ウリヤ)がいた。
そこで、ダビデは部下に命じて、その夫を激戦地に遣わし、戦死させてし
まう。
夫のいなくなったバト・シェバを正式に自分の妻とする。
そのとき、預言者ナタンが神から遣わされ、ダビデを断罪に来た。
12章→ナタンはまず、たとえ話を語る(12:1-4)
その後、ダビデの罪を告発(十戒への違反)
→第10戒:隣人の妻をほしがってはならない
→第7戒:姦淫してはならない
→第6戒:殺してはならない
そして、裁きの宣告→王家の断絶
しかし、ダビデは深く悔い改めたので、裁きが軽減された→生まれた子が死
ぬ
Bエリヤ(前9世紀)
ナボトのブドウ畑事件(列王記上21章、P.570)
アハブ王→イズレエルに宮殿
ナボト→宮殿に隣接してブドウ畑をもつ農園主
アハブ王→ナボトのブドウ畑がほしくなり、売ってほしいと申し出る。
ナボト→「これは嗣業の土地だから譲れない」と断る
王妃イゼベル→さくりゃくをめぐらし、ならず者を雇って、偽証をさせる
「ナボトは、神と王を呪った」と。
ナボトは処刑され、その土地は王のものとなる。
預言者エリヤが神から遣わされ、王を断罪する
→罪の告発(十戒への違反)
→第10戒:他人の土地をほしがってはならない
→第9回:偽証してはならない
→第6回:殺してはならない
そして裁きの宣告→王家の断絶
ここでもアハブ王は悔い改め、王家の断絶は、先に延ばされた
(11)預言者A
a、アモス
前8世紀の中頃に北イスラエルで活動
最初の記述預言者→その預言が書に記述された預言者
ある時突然神に預言者に召命される(7:10-15)
彼は、最初、南ユダ王国のテコアという町で、羊飼いをしていた
「北イスラエルに行って、預言せよ」という任命を受ける。
北イスラエルのベテルという宗教都市で預言する。
そこで、人々の罪を告発して、裁きの宣告をなす。
罪→特に、支配者階級が弱者を虐げることを非難
裁き→地震、外国の攻撃による国家の滅亡と、捕囚
アモスの主張→神は正義の神
5:24→「正義を洪水のように、恵みの業を大河のように、尽きることなく流れ
させよ」
アモスの預言は実現した
→その2年後に、大地震が起こる(1:1)
→前721年に北イスラエル王国は、アッシリア帝国によって滅ばされ、人々はア
ッシリアの町に捕囚として連れて行かれた。
北イスラエルは、アッシリア帝国のサマリア州とされ、そこに住む人は、後に
サマリア人と呼ばれるようになる。
b、ホセア
ホセアの前歴はわからない
前8世紀の後半に北イスラエルで活動
1-3章→結婚生活についての象徴行為
象徴行為→神の命令によってさせられた行為
→預言と同じようなメッセージがある
1章の象徴行為
@「淫行の女」ゴメルと結婚せよとの命令
→当時のイスラエルの人々が偶像礼拝(バアル)に陥っていたことの非難
A長男に「イズレエル」という名をつけよとの命令
→当時の人々が流血などの社会的な罪を犯していたことの非難
B長女に「ロ・ルハマ」という名をつけよとの命令
→神はもはやイスラエルの民を「憐れまない」という裁きの宣告
C次男に「ロ・アンミ」という名をつけよとの命令
→神はイスラエルとの契約を解消するとの裁きの宣告
2章の記事
ゴメルは、ホセアのもとから離れていったことが記されている。
3章の象徴行為
再び神の命令→離れていった女を「再び愛せよ」という。
→神は、罪を犯したイスラエルの民を見捨てるのでなく、なお愛し続ける、と
いうメッセージ。
ホセアの主張→イスラエルの神は愛の神
14:5→「わたしは背く彼らをいやし、喜んで彼らを愛する。まことに、わたし
の怒りは彼らを離れ去った。」
c、イザヤ
キリスト教に大きな影響を及ぼした預言者
前8世紀の後半、南ユダで活動。
アッシリア帝国のよって脅かされた時代
事実、前721年に北イスラエル王国は滅ぼされた。
ユダ王国は滅びを免れたが、風前の灯火状態
イザヤの主張→「聖なる神」→カードーシュ:他の者とは全く区別された方
この神に信頼することが、一番力強い←軍事力よりも
平和を実現するメシアの誕生を預言
@7:14→「インマヌエル預言」
インマヌエル→「神、我らと共にいます」という意味
「見よ、おとめが身ごもって、男の子を産み、その名をインマヌエルと呼
ぶ」→「おとめ」(アルマー)→若い女という意味で既婚の女性にも使われる
→恐らく当時のユダの王(アハズ)の若い妻
→これがギリシア語に訳されたとき「乙女」(パルテノス)になる
→キリスト教の処女降誕に影響
→マタイ1:23で、イエスの誕生は、この預言の成就と理解された。
A9:5「平和の君の誕生」の預言
「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわ
たしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、「驚くべき指導者、
力ある神/永遠の父、平和の君」と唱えられる。」
→これは、だれか?→→新約ではイエス
→しかし、ダビデ王家の者
→9:6では、「ダビデの王家とその王国に権威は増し、平和は耐えることが
ない。」とある。
B2:2-5「終末の平和」の預言
特に2:4「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち
直して鋤とし/槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず/
もはや戦うことを学ばない。」
→この言葉は、国連の建物にも記されている。
C11:1-10「平和の王」の預言
11:6「狼は小羊と共に宿り/豹は子山羊と共に伏す。子牛は若獅子と共に
育ち/小さい子供がそれらを導く。」
→自然界の平和→→創造の最初
(12)預言者B
a、エレミヤ(苦難の預言者)
前7世紀後半、ユダ王国がバビロニアによって滅ぼされる時代に活躍
召命を受けが時、「若いから」と言って断るが、「わたしが共にいる」との約
束を受け て任務に就く。
彼はまず、北から敵が将来する、と預言したが、これは実現しなく、人々の
物笑いにな る。→もはや語りたくない、という告白。(20:7-9;P.1214)
彼は、バビロニア(ネブカドネツァル王)が、神の使者であって、彼の降伏
することが 神の意志であると預言。
そのために、多くの人(特に権力者)から迫害を受けた。
何度か殺されかけた。
そして、彼の預言通り、ユダ王国は、バビロニア(ネブカドネツァル王)に
よって滅ぼ された。
多くの人は、バビロン捕囚となったが、彼は自由を与えられ、ユダにとどま
った。
しかし、バビロニアに反発を持つ人々にエジプトに連れて行かれ、そこで生
涯を終えた。
彼は、どんなときにも神に信頼し、人々に慰めと伝えた。
また、彼は、「新しい契約」が与えられる預言をした。
→31:31-35(P.旧1237)→キリスト教ではこれはキリストの預言と理解さ
れた。
b、エゼキエル(希望の預言者)
前598年の第1回バビロン捕囚で、バビロンに連行された1人
元来エルサレム神殿の祭司→上層階級
バビロンの地で預言活動
前587年にエルサレム神殿が破壊されたニュースを聞いたとき、捕囚の人々は
絶望状況に陥った。
そのときエゼキエルは、「枯れた骨の復活」幻を見た。
37:1-10(P.旧1357)
「枯れた骨」→人々の絶望状況を表す。
「枯れた骨が復活する」→絶望状況にあった人々に希望が与えられる。
彼は、破壊された神殿が再建される幻も見、人々に希望を与えた。
g、第二イザヤ(慰めの預言者)
イザヤ書40-55章の部分を預言した無名の預言者。
彼もバビロン捕囚の地で活動。
バビロニアが弱体化し、ペルシアが興隆した時代。
彼は、ペルシア帝国(キュロス王)がバビロニアを倒して、捕囚の民を解放
してくれる ことを預言。
預言通り、前539年、キュロスは、バビロンに無血入城し、バビロニアを倒す。
そして、「キュロスの勅令」を出して、捕囚の民を解放した。
捕囚の人々は、故郷エルサレムに帰還することができた。
彼はまた、「主の僕の歌」というのを詠んだ。
53章(P.旧1149)→何の罪もない1人の人が人々の身代わりになって死んでい
くという内容。→キリスト教では、これはキリストの生涯の預言と理解。
(13)文学書(ヨブ記、詩編、箴言、コヘレトの言葉、雅歌)
古代イスラエルの文学作品→ほとんどは著者や時代もはっきりしない
a、ヨブ記(知恵文学)
「擬人の苦しみ」をテーマにした文学作品
1−2章、42章→ヨブについて物語(多分、民間伝承)
ヨブ記の著者は、この民間伝承を借りて、文学作品を作成。
1−2章→ヨブ記は義人
「無垢な正しい人」→神に対しても、人間に対しても、正しい人。
当時の宗教的な考え→そのような人は神から祝福を受ける。
祝福→子ども、財産、長寿、平和など
ヨブ→子宝→7人の息子、3人の娘
財産→羊7000匹、らくだ3000頭、牛500くびき、雌ろば500頭
長寿→息子たちがすべて家庭を持つ→この時代としては長寿
平和→息子たちの家に順番に全員が集まって食事
→ある時、サタンの試みによって、4つの災難
@シェバ人による襲撃→召し使いが殺され、略奪される
A天から火が降る→羊も羊飼いも焼け死ぬ
Bカルデア人の襲撃→らくだと牧童が殺される
Cあら煮の襲来→子供たちがすべて死ぬ
→「わたしは裸で母の胎を出た。裸でそこに帰ろう主は与え、主は奪
う。主の御名はほめたたえられよ。」
→さらに、自分は苦しい皮膚病に苦しめられた。
→「神から幸福をいただいたのだから、不幸もいただこう。」
3−42章→ヨブと友人との「神義論」についての論争
「神義論」→神は正しいという弁証
→しかし、ヨブにとっては神のヨブに対する扱いは間違っている、と
主張。自分は正しいのにこんな苦しみを受けるのは分からない、と
いう。
→友人たちは、ヨブが間違っている、と主張。こんな災いを受けるの
は、ヨブには何か間違ったことがあったからであり、その罪を悔い
改めるべきだ、という。
→議論は、平行線
→最後に神が登場。神は創造の世界を示し、ヨブは悔い改める。
b、詩編
マルティン・ルターは、詩編を「小聖書」と呼んで重要視した。
伝統的にダビデの作とされる。
→ヨダビデは、詩の名人であったという伝説。
→しかし、そうではなく、だれの作とも分からない。
→その時々に、だれとも知らずに、歌われたもの。
古代イスラエルにおいて、、神殿礼拝で「賛美歌」として使われていた。
また、祈りでもある。
神殿礼拝は、琴(ハープ)で伴奏された。
神殿には、専属の聖歌隊がいた。
いくつかの種類がある。
→「賛美の歌」→神を賛美するもの。
→「嘆きの歌」→苦難にあったとき、神の助けを求めて歌われたもの。
→「感謝の歌」→苦難が解決されたとき、神に感謝を歌ったもの。
c、箴言(知恵文学)
古代イスラエルの格言を集めたもの。
伝統的に、ソロモンの作とされる。
ソロモンは知恵者であった、という伝承。
→ソロモンが王になったとき、夢で神から知恵が与えられた。
ヘレニズム時代に、ギリシア思想の影響が入り込んできて、伝統的なイスラ
エルの信仰が危機に瀕したときに編集された。
アレクサンドロス大王によるギリシア化の時代。
そのような中で、特に若者にイスラエルの伝統を教えようとしてまとめられ
た。
箴言には、ギリシア風の怠惰な享楽的な生き方を戒め、堅実で勤勉な生活を
勧める格言が多い。
真の知恵は、「主を畏れること」(1:7)。